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粗品ですが… (4)

勢いに乗ったので、久々にSSを書いてみました。

一応の 注意書き
冒頭にもありますが、足利ひめたまの二次創作です。原作・公式とは一切関わりはありません。
この作品はフィクションです。文中に登場する人物・町・地名・設定等はすべて架空のものであり、実在するものとは一切関わりはありません。
若干オリジナルの設定を加えています。
口調が読者の想像と異なるかもしれませんが、そこは目を瞑って頂けると幸いです。

--------------------
二人のめ組

「そういえば、おりひめ?」
「なぁに、たまちゃん?」

外は雨。おりひめが持参してきたお弁当を食べている中、みたまが問う。

「おりひめってウチでお料理しないよね、どうして?」

――ピキッ!

「ほら、おりひめのお料理って美味しいじゃない。だから、たまにはお弁当じゃなくてできたてが食べたいな、って。」

――ビシィッ!

…おやびん、今の質問はマズイぜ。空気にヒビの入る音がしっかり聞こえた…ほら、おりひめ様凍ってるし…。シロ吉は今の一瞬の間に脳内抗議を申し立てた。一瞬にして空気が凍て付いた、あるいは大気の分子が全て重苦しい雰囲気に負けて地面に落下し、空中が真空になってしまったかのような息苦しさが生じる…ここで脳内抗議を声に出せば、みたまから理不尽な報復を受けかねない。いや、それ以前におりひめの周囲の空気がいつになく沈痛な雰囲気だったため、シロ吉には言い出す勇気も持てなかったが。

「…ごちそうさま。じゃ、わたし帰るね。」
「え?外はまだ雨降ってるんじゃ…ちょっと、おりひめ?!」

お弁当を食べ終わると、おりひめは普段からは想像できない早さで身支度を整えて帰って行った。

「…あたし、何かマズイこと言っちゃったかな…?」

おりひめに届かなかった手を胸の前に戻してみたまは呟いた。それを聞いたシロ吉から、KY!KY!という声が上がり、門田稲荷神社は一時は騒然となった。喧嘩であった。

その晩、みたまは蔵から幾つかの文献を持ち出していた。大体はあしかがの歴史や織姫神社についてのものである。
シロ吉と喧嘩したときは、興奮のあまり思わず「勝手に帰っちゃうおりひめなんて知らない!」という言葉まで飛び出してしまったが、やはり気になるものである。何より、あんな悲愴感をたっぷりと纏うおりひめなど、見たことがない。余程の事情があるのだと確信し、それを隠すおりひめへの苛立ち…今になって思えば、それがシロ吉との喧嘩の際にあんな言葉になってしまったのかもしれない。シロ吉からも呆れられるわけである。冷静になればなるほど、自分が如何に滑稽であったかが身に染みる。

「あたしって、ほんとバカ…。」

そう思うからこそ、おりひめの心の奥底にある闇を探そうとみたまは本のページをめくった。

「…!」

そして、発見する。おりひめの知られざる過去を。

「…明治12年、八雲神社より魚住山(現在の織姫山)に遷座。しかし翌13年、火災により社殿一切を焼失…昭和12年の新社殿造営まで、小さな仮屋の祠で祭祀…。」

…知らなかった。織姫神社が火災に見舞われていたなんて。しかも、その後暫くの間、資金不足のため新しい社殿が造営できず、ずっと小さな祠にいたなんて…。

「おりひめ…。」

もし、この一件がおりひめの心に暗い影を落としているのならば…例えば、火災が原因で火を怖がっているなら…。
前に遊びに行ったとき、おりひめの家はオール電化だった。火を吹くコンロは無ければ、お風呂を沸かす火もない。それに引きかえ、ウチは昔ながらのガスコンロ。しかも少々オンボロで不機嫌なときは火を吹く。このことを笑い話としておりひめに話したこともある。

「…怖がるのも、無理はないよね。」

あくまで仮説に過ぎないが、そう考えれば合点が行く。
しかし、問題はこれからである。仮に原因がこれで正しいとしても、自分はそれを知って何がしたいのか。謝るのが一番だが、昼間の様子からでは、数日間はまず口をきくことすら難しいかもしれない。誰か白狐を代わりに行かせるか…。

「…そうだ!」

そのとき、みたまの頭上で電球が閃いた。


「はぁ…。」

翌日。織姫神社の社殿前の階段に座り込んで、おりひめは落ち込んでいた。昨日の己の失態によってである。

「たまちゃんに嫌われたかも…。」

そう言っては溜め息を付く。朝からこの繰り返しである。おりひめは、みたまの問い掛けに満足に答えてあげられなかったこと、それどころか、それ以上訊かれるのが怖くなって、ろくな言葉も掛けずにそそくさと帰ってきてしまったことでみたまに嫌われたかもしれない、それで落ち込んでいるのである。

「…あれ?」

そんなおりひめに、二つの影が近付いてくる。両方とも狐…白狐であった。

「おりひめ様!」
「おりひめさまっ!」

二匹の白狐がおりひめの前に並んだ。片方は皀莢(さいかち)の葉を携えており、もう片方は
額に「勅令・戸司完前」と書かれたお札が貼られ、それと同じ文字が書かれたお札をくわえていた。

「…あなた達は?」

二匹がみたまのお使いでやって来たことは想像が付く。問題は、その先だった。

「おらは槐(さいかち)稲荷の白狐。おら達は、みたま様から言伝てを頼まれて参りました。」
「わては菅東山稲荷の白狐。それと、わてはこのお札も頼まれました!」
おりひめは、二匹の白狐の交互の声に黙って耳を傾ける。
「「昨日は色々とゴメン。事情は何となく分かった。」…これが言伝てです。おら達には、これだけじゃ何を言ってるかさっぱりだす。」

おりひめは黙って頷いた。みたまは不器用で、言いたいことも上手く言えないことは分かりきっている。「色々と」には本当は色々というほどのボリュームはなく、あの問い掛けをしたことだということを直接言い出せなくて誤魔化していることも、「何となく」は逆に自分ができる限り精一杯考えて、調べて…きっと織姫神社にかつて何があったかを知り、それが原因で必要以上に火を怖れるようになってしまったことも分かったのだろう。言葉をまるであべこべに使うのは天邪鬼のようで、いとおしさすら感じる。それと同時に、言葉の表にはないけれど、心配しているであろうことも…。そう思うと、自然と笑みが零れた。

「わてはこれを渡すように言われました。」

そう言って、くわえていたお札を渡す。

「…これは?」
「火伏せのお札でげす。そのお札がある家はどんな火災からも免れることができるって言われてます。」

そう。槐稲荷神社も菅東山稲荷神社も、あしかがで火伏せのご利益のある稲荷様なのだ。おりひめはみたまが全てを見抜いていることを確信し、申し訳なく思った。

「謝りに、行かないとなぁ…。」

ほとんど何も説明しないで出て行った自分が悪いのだから。しかし、その顔はどこか嬉しそうだった。

「今日のお弁当は、あまぁ~いお稲荷さんね!」

<end.>
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Author:kagasea
名前について:kagasea (kagase@とも。ここでは@が使えなかったのでkagasea。読み方はどちらも「かがせあ」で。)

経緯:ひめたまが始まってわりとすぐ(2010年夏の花火の頃)から知ってはいたものの、ずっと静観していた人間。関連イベントにはちょこちょこ足を運んでみたりして徐々に染まって行きました…。

補足:元々ゲームなどの設定の元ネタを発掘するのが趣味で、その関係で神社や仏閣の知識もほんの少しだけある(と思います)。
その辺から色々妄想したりしてネタを書き留めていきます。

  • 当サイトはリンクフリーです。バナーはありませんが…。
  • IE8, Chrome10.0.648.205, Operaなどでは正常に動く様子。
  • Mozilla FireFox ver3.6だと何故か型崩れする現象が確認されています。同ver 4.0だと大丈夫な模様。



twitterもやっています。
というかこちらがメイン。
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思い付いたひめたまの妄想ネタを呟くbotもやってます。
二次創作のネタとして使って頂ければ幸いです。

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