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粗品ですが…

巷で足利ひめたまの二次創作SS(ショートストーリー)を書いた方を拝見したことがなかったので、思い余って一つ書いてみました。
ちなみに自分は物書きではないので稚拙です。…勢いでやったと可愛く見て頂ければ幸いです。


一応 注意書き
  • 冒頭にもありますが、足利ひめたまの二次創作です原作・公式とは一切関わりはありません
  • この作品はフィクションです。文中に登場する人物・町・地名・設定等はすべて架空のものであり、実在するものとは一切関わりはありません。
  • 若干オリジナルの設定を加えています。
  • 口調が読者の想像と異なるかもしれませんが、そこは目を瞑って頂けると幸いです。

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道の神様The little discovery of an unknown deity


「ねえ、この信号ってちょっと変わってない?」

春先特有の白い霞が溶けこんだ水色の空に、少女の声が響いた。
ここ最近の春とは思えない冷え込みが和らいだおかげか、冬は閑散としていた通りにも自転車や歩く人の姿が見られる。
言う人が言えば「まるで啓蟄を迎えた虫たちのようだ」というかもしれないが、ここ最近の冷え込みと今日の暖かさを鑑みれば、そんな表現も何となく納得できてしまうだろう。
往き交う人たちの顔もどこか綻んでいるように見える。
そんな中でも、太陽のように一点の曇りもなく輝くみたまの笑顔は、おりひめにとっては格別のものだった。

-----

事は午前中の出来事に遡る。
おりひめとみたまはそれぞれの家(織姫神社と門田稲荷神社)でメールのやり取りをしていた。

――今日は散歩に行こうか?どこへ行く?どこに集合する?
そんな他愛もないやり取りだった。
特に当てもないままメールの件数だけが増えていく。
しかし、おりひめにとっては例え文章越しであっても“みたまと繋がっていられる”というだけで至高の時間だった。
そもそも今日のやり取りも、「みたまと話したかった」というだけで始めたんだっけ…そんなことを思い返した、そのとき。
偶然付けていたテレビから、あしかがの話題が流れてきたのだった。

テレビでは、とある場所に存在する珍しいダルマを取り扱っていた。
その話は、散歩の目的地が決まっていなかったおりひめにとって格好の話題だった。
そこで早速みたまにそのことをメールし、あしかが駅に集合することにした。

無事にあしかが駅で合流した2人(と1匹)は、真っ直ぐ北の通りを歩き始めた。
そして、他愛もない話をしながら道なりに歩いていたときだった。
みたまが突然、大きな声を上げたのは。

「ねえ、この信号ってちょっと変わってない?」

-----

「ふえっ?!」

突然の大声に、おりひめは無意識のうちに妙な声を出したいた。
顔を上げれば、みたまの満面の笑顔。
ついでに、いつの間にかみたまの肩に乗っていたシロ吉が「ククッ」と笑いを抑えている気がするのは気のせいだろう。気のせいということにしておこう。
おりひめは、みたまの後ろにある交差点に改めて目を向けた。

一見すると普通の十字路に見える交差点。
ただし、左側の細い路地に掛かる横断歩道に比べ、右側のそれがかなり長いことと、右側の横断歩道の途中に家屋があることを除いては。
みたまたちはその右側を歩いていたため気付いていなかったが、実は家屋の奥にも斜めに向かって路地が伸びていた。
つまり、道路の右側からは2本の道が交わる変則的な五差路だった。

「えーっとね、ここは変則五差路なの。この家の奥にも斜めに向かって道が伸びているんだよ。」
「へえー、こんなところにも変な交差点があったんだ。あたしはあまり川の北を散策したことがなかったからなー。」
「おいらも初めてだ!」
「ふふ、そう言われてみればそうだね。」

おりひめは街の中心部から少し西に位置する織姫山に鎮座する、織姫神社に住んでいる。
そのため、川の北、しかもおおよそ市街地であるこの辺りのことは知っていた。
一方のみたまとシロ吉は、渡良瀬川の南側にある下野国一社八幡宮の境内社・門田稲荷神社に住んでいる。
そのためか川の北の様子には少し疎いところがあった。
自分にとっては何気ない風景でも、みたまにとっては新鮮なこともある。
そんなささいなことでも新しい発見である。もしかしたら3人が取り組んでいる「あしかがを元気にする」ことに繋がるきっかけになるかもしれない。
そう思うと、おりひめは少し嬉しくなった。

「折角だし…入ってみようか?」
「そうだね。」

ずっと3人を足止めしていた信号が青になったとき、みたまはそう言った。
おりひめも頷く。
そういえば、ここが五差路であることは知っていたけど、その先がどこに繋がっているのか。
それは、おりひめでも確かめたことはなかった。
道路を一度曲がればそこはもう未知の世界といえる。
だから、みたまやシロ吉だけでなく、いつの間にかおりひめの気持ちまで弾んでいた。

確かにそこは未知の世界だった。
思ったよりも多くの細い路地が横に伸びており、そのどれもがどこへ通じているのか分からないくらいだった。
3人が入ってきた道を道なりに進むとすぐに、あるものが見えてきた。

「ねえ、たまちゃん。あれって神社…だよね?」
「うん、そうだと思う。」

3人の目の前に現れたのは、何本も枝分かれした道と、その真ん中に鎮座するお社だった。
お社といっても立派な神社ではなく、土台の上に木製の祠が3人から見て右に向いており、そのすぐ前方に2メートルくらいの高さの石製の鳥居が一基。
そしてお社の左後ろ側、3人にからはお社の左手前には、太い枝を全て切り落とされた木の幹が立っていた。

道路は少し左に曲がり、そこから3つの道に分かれていた。
1つは今までの道と同じくらいの太さで、若干右に曲がってはいるもののほぼ正面の方向。
1つは、これも先ほどの道と同じくらいの太さで、大きく右方向へ。
最後の1つは細い一方通行の道で、左斜め方向へ。
問題の神社は、最初の正面の道と、最後の細い道の間の三角形の土地に位置していた。

――こんな裏路地にも神社があったのか。
今まで知らなかった神社との出会いに、3人は改めてあしかがの広さに驚かされた。
小走りしてその神社に近付く。

「…道祖、神社?」
「違うぜおやびん。道祖神(どうそじん)、社って区切るんだきっと。」

みたまが神社の名前を呟いて首をかしげると、シロ吉は「そんなことも知らないのか?」といわんばかりに胸を張って主張する。
おりひめは首をかしげるみたまの姿に見惚れていたため、シロ吉の言葉はスルーされた。

「ねえ、おりひめ。道祖って?」
「うーんと、道祖神っていうのはね…」

道祖神とは、一言で言ってしまえば道や辻を司る神様である。
古来、辻は集落(ムラ)の入り口、つまりは地域コミュニティの内側と外側とを分ける境界線とも考えられていた。
そのため、集落から旅立つ人が無事に帰ってくることを祈るための神様が考えられ、集落の入り口に祀られたのが道祖神だといわれる。
一方で、疫病や災厄が集落の中に入ってこないように守る神様である"塞(さい)の神"とは、祀る場所が似ていることなどから同じ神様とされてきた。

3人が出会った道祖神も、まさに道が交わる辻である。
しかも偶然かそれとも何かの縁か、この辻は町と町の境界にもなっていた。
そのすぐ近くにこの道祖神は鎮座していた。

「そっか、辻道や境界を司る神様…か。」
「疫病神とか虫をこの神様のところまで送り出す、っていう風習がある地域もあるみたいだぜ。悪いモノと縁を切るっていう意味ではおやびんの仲間だ。」

感慨深そうに呟くみたまに、シロ吉が突っ込む。
「縁切りの神様ならそれぐらい知っておけ!」といわんばかりである。
その意図を汲み取ったみたまは、シロ吉にゲンコツをお見舞いしようとシロ吉が乗っている肩とは反対方向の腕を振り上げる。
シロ吉は慌てて肩から降りるが、地面に降りたシロ吉にゲンコツは降ってこなかった。
シロ吉は不思議に思ってみたまを見上げるが、みたまは腕を振り上げたポーズのまま、おりひめを見ていた。

「…なにしてるの、おりひめ?」

みたまの言葉に動じることなく、おりひめは道祖神社の鳥居の前で一礼し、そのまま鳥居をくぐった。
そして、丁寧に二礼、二拍手、一礼を行った。

「なにって…道祖神さまにごあいさつだよ。」

屈託のない笑顔でおりひめは言った。
きっと昔からこの道 ―今は寂しい裏路地のような道― を守ってきたであろう神さまへ、畏敬の念と感謝を込めて…そして、この道でその神さまと出会ったことに感謝して参拝をしたのだと。

「神さまをないがしろにしたら、罰が当たるよ?」

だから、とおりひめはみたまの背を押す。

「たまちゃんも参拝しよ♪」
「分かった、分かったから押さない!」

みたまもおりひめに倣って道祖神を拝んだ。
残されたシロ吉は「2人も神さまなんだけどな…」と呟くも、その当人たちには聞こえなかったようだ。
なんにせよ、神さまを拝んでおいて悪いことはない。拝まなかったら神さまの機嫌を損ねて罰を受けるかもしれない。
結局、シロ吉も道祖神を拝むことになった。


こんな寄り道をしたにも関わらず、あの後3人は無事に目的のダルマを見付けることができた。
ただ1人おりひめだけは確信を持っていたようで、後に「無事に辿り着けたのは道祖神さまのおかげ」と語ったのだった。

<end.> 
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プロフィール

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Author:kagasea
名前について:kagasea (kagase@とも。ここでは@が使えなかったのでkagasea。読み方はどちらも「かがせあ」で。)

経緯:ひめたまが始まってわりとすぐ(2010年夏の花火の頃)から知ってはいたものの、ずっと静観していた人間。関連イベントにはちょこちょこ足を運んでみたりして徐々に染まって行きました…。

補足:元々ゲームなどの設定の元ネタを発掘するのが趣味で、その関係で神社や仏閣の知識もほんの少しだけある(と思います)。
その辺から色々妄想したりしてネタを書き留めていきます。

  • 当サイトはリンクフリーです。バナーはありませんが…。
  • IE8, Chrome10.0.648.205, Operaなどでは正常に動く様子。
  • Mozilla FireFox ver3.6だと何故か型崩れする現象が確認されています。同ver 4.0だと大丈夫な模様。



twitterもやっています。
というかこちらがメイン。
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思い付いたひめたまの妄想ネタを呟くbotもやってます。
二次創作のネタとして使って頂ければ幸いです。

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